生活


 

作業と芸能・体作り

芸能の生まれた背景には、四季のうつろいとともに歩む暮らしがあった。春夏秋冬それぞれの季節にその時やるべき仕事がある。

「食べ物をつくったり薪を割ったり、生きていくために必要な仕事をしていれば自然と踊りに必要な身体ができる。」

そう語る加藤木朗が太鼓を打つ姿、踊る姿には余分な力みが全くない。身体の構造を無駄なく使った撥の捌き、踊りのしなやかで優美な動きの根底には、日々の労働で培った身体遣いがある。


筋トレや特別なトレーニングはしない。

狩猟

加藤木 朗は阿智村の猟友会員でもある。芸能には動物の姿やしぐさが動きや装束のモチーフとなっているものが多く、その成り立ちも生き物と密接なつながりがある。

「自分が命をつないでいくために他の命をいただいているということを、狩猟をすることで実感している。」

物作り

「自分の身につける装束や使う道具はなるべく自分で作るようにしている。

男でも150センチくらいだった昔の人と現代人では身体の大きさもバランスも違う。

伝統的なサイズの装束をそのまま使うと自分には合わなかったり、本当に欲しいものはたいがい買えないから、作るしかない。」

自宅横の稽古場には、自作の面や獅子頭、鹿踊りの面、ササラ、などがところ狭しと並ぶ。まるでちょっとした芸能資料館のようだ。色や形状にこだわり抜いて作ったこれらの小道具があるからこそ、望む通りの舞台表現ができる。